診療室で最初に飼い主さんと向き合う時に獣医師が考えていること
はじめまして、獣医学生のVETkunです。
今回は、獣医師が病院にペットを連れてきた時に考えていることを診療室においての5つのステップのことを交えてご紹介しようと思います。
獣医療において、訴訟に発展するケースが年々増えてしまっています。
その際に約40%が獣医師と飼い主さんとのコミュニケーショントラブルによるものとなっています。
なので、自分のペットを病院に連れていく際に良いコミュニケーションをとって最善の治療ができるようにする手助けになれば幸いです。
1.診療室への呼び入れ
ここでは獣医師は「次の方どうぞ」ではなく、飼い主さんの苗字とペットの名前をフルネームで呼びかけるようにしています。
これは、順番の行き違いを防ぐ目的があります。
順番を間違えてしまうとトラブルに発展しまうケースがあります。
待合室で待機される際は、飼い主さんにも順番に並んでいただけるとスムーズに誤りなく対応ができます。
2.オープニング
診療室に入ってもらったら自分のペットをどこにもっていくか、飼い主さんの荷物をどこにおいてもらうかということを獣医師からお伝えすると思います。お伝えするまではペットを離さないようにお願いいたします。
逃げてしまってトラブルになってしまうことがあります。
それぞれ終えたら挨拶を飼い主さんとペットにします。
その後、簡単な性別や年齢などを聞いていきます。
このとき、獣医師が性別を「オス」や「メス」と言わず、同等な立場として「男の子」や「女の子」ということが多いですね!
獣医師は親しみやすいように常に言葉使いに気をつけるように心がけています。
3.Open-ended Question
ここから本題の病院に連れてきた経緯を聞いていきます。
Open-ended Questionの意味は、飼い主さんにペットに起きた出来事を広く話してもらうことが目的です。
そのため、獣医師から何か限定するような質問はなく「本日はどうされましたか」などと抽象的な質問をすると思います。
この際は、獣医師は口を挟まずに受け身になるように心がけていますので飼い主さんは漏れがないようなんでもいいのですべて話すようにしていただけるとこの先の治療方針などに助かります。
4.Focused Question
ここでは、獣医師はOpen-ended Questionで述べていただいたことをもとにあることに的を絞った質問をしていきます。
たとえば、下痢の症状が主な場合に「色は赤色でしたか」などと言います。
ここでの赤色は血の色を指しますが、わかりやすく親しみやすいように言葉を変えています。
赤色の場合、体内の下部の異常が疑われます。
黒色の場合、体内の上部の異常が疑われます。
このようにこの時は獣医師の方から積極的にお話を聞いて疑われるものを絞っていきます。
なるべく、質問に対して詳細な情報をいただけると助かります。
5.クロージング
ここでは、今までのことをまとめて疑われる病気やこれからする検査、治療費などに関してお話しします。また、最後に言い残しがないか最終的に聞いてくれると思います。ここで最も大事なことは、インフォームドコンセントという飼い主さんから同意を得ることです。
これがなければ治療を進めていくことができません。
ペットのためにもしっかりとした情報共有をして十分に納得が出来たうえで同意していただくようお願いいたします。
いかがだったでしょうか。
獣医師が考えてやることを事前に飼い主さんが少しでも知っていたらより良いコミュニケーションがとれてスムーズに治療ができると思い、書かせていただきました。
ぜひ、参考にしていただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。