VETkun’s blog

獣医学生 ブログ

犬猫の血液検査について(血液検査化学検査編その①)

はじめまして、獣医学生のVETkunです。

年に数回自分のペットを健康診断に連れていく方は多いのではないでしょうか。

今回は、健康診断でよく行われる血液検査について実際の犬猫の血液検査表に近いものをもとに意義などを血液検査編と血液化学検査編(その①-その③)と分けてご紹介していこうと思います。

飼い主さんも今回の内容を知っておくことでペットに対する食事なども考えることができたりして理解も深まるのではないでしょうか。

ぜひ、参考にしてくだされば幸いです。

まず、皆さんがよく目にするような血液検査表を作成したのでご覧ください。

 

血液検査 検査日 年 月 日

検査項目

単位

Glu

血糖値

mg/dl

T-cho

コレステロール

mg/dl

BUN

尿素窒素

mg/dl

T-Bil

ビリルビン

mg/dl

GOT

(AST)

IU/I

GPT

(ALT)

IU/I

これらの項目について、それぞれの意義と犬猫の基準値、主な考えられることを説明していこうと思います。

 

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Glu(血糖値)*特に高い場合、気を付けましょう

血糖値は食事による摂取以外にも肝臓で産出放出されるブドウ糖と、末梢組織(脳・筋肉・赤血球など)での消費との間で動的な平衡状態を保っています。特に中枢神経系ではグルコース唯一のエネルギー源です。

犬猫の基準値

50-124mg/dl

考えられる主なこと

 
【基準値より高値の場合】
糖尿病ストレス(特に猫)、クッシングなど
 
【基準値より低値の場合】
肝不全、低血糖、腫瘍など

 

T-cho(総コレステロール)*特に高い場合、気を付けましょう

血中のコレステロールは、食物からの供給は3割に満たず、大半は体内での生合成で供給されます。主に合成する臓器は肝臓です。

犬猫の基準値

70-303mg/dl

考えられる主なこと

 

【基準値より高値の場合】
糖尿病、クッシング、甲状腺機能亢進症(犬はほとんどない)など

 

【基準値より低値の場合】
肝疾患など

 

BUN(尿素窒素)*特に高い場合、気を付けましょう

血液中に含まれる尿素量を表します。タンパク分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝臓尿素サイクルの代謝を受けて尿素が産生されます。

尿素のほとんどは腎臓でろ過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収されて血中に戻ります。

犬猫の基準値

4.8-31.4mg/dl

考えられる主なこと

 

【基準値より高値の場合】
腎不全、尿毒症、尿路閉鎖、消化管出血など

 

【基準値より低値の場合】
肝障害、タンパク質不足など

 

T-Bil(総ビリルビン

ヘモグロビンやポルフィリン体の分解産物

犬猫の基準値

0-0.5mg/dl

考えられる主なこと

 

【基準値より高値の場合】
胆管肝炎、胆管閉塞、溶血など

 

GOT(AST)(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)*特に高い高い場合、気を付けましょう

肝臓、心筋、骨格筋に多く含まれている酵素なので、それらの臓器や組織が障害(破壊)された場合、血液中のGOTの値が異常に上昇してきます。

臓器や組織の種類、障害の程度によってGOTの上昇度に差があり、障害の程度が強いほど数値が高くなります。

犬猫の基準値

9-69IU/I

考えられる主なこと

 

【基準値より高値の場合】
肝機能障害、筋肉壊死など

 

【基準値より低値の場合】
肝不全など

 

GPT(ALT)(アラニンアミノ基転移酵素)*特に高い場合、気を付けましょう

肝細胞に多く含まれている酵素なので、肝細胞が障害(破壊)された場合、血液中のGPTの値が異常に上昇していきます。

犬猫の基準値

13-53IU/I

考えられる主なこと

 

【基準値より高値の場合】
肝機能障害、低酸素症など

 

【基準値より低値の場合】
肝不全など

 

 

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