犬猫の血液検査について(血液検査編)
はじめまして、獣医学生のVETkunです。
年に数回自分のペットを健康診断に連れていく方は多いのではないでしょうか。
今回は、健康診断でよく行われる血液検査について実際の犬猫の血液検査表に近いものをもとに意義などを血液検査編と血液化学検査編(その①-その③)と分けてご紹介していこうと思います。
飼い主さんも今回の内容を知っておくことでペットに対する食事なども考えることができたりして理解も深まるのではないでしょうか。
ぜひ、参考にしてくだされば幸いです。
まず、皆さんがよく目にするような血液検査表を作成したのでご覧ください。
血液検査
名前 検査日 年 月 日
検査項目 |
単位 |
|
|
白血球数 |
/ul |
LY(リンパ球) |
|
|
MO(単球) |
|
|
EO(好酸球) |
|
|
GR(顆粒球) |
|
|
赤血球数 |
10⁴/ul |
|
HGB |
ヘモグロビン量 |
g/dl |
HCT |
血球容積 |
% |
MCV |
平均赤血球容積 |
fL |
Plat |
血小板数 |
10⁴/ul |
TP |
g/dl /ul |
|
フィラリア子虫検査 |
-/+/++ |
|
FeLV |
猫白血病ウイルス |
-/+ |
これらの項目について、それぞれの意義と犬猫の基準値、主な考えられることを説明していこうと思います。(フィラリア、猫白血病は除く)
- WBC(白血球)
- RBC(赤血球数)*特に低い場合、気を付けましょう
- HGB(ヘモグロビン量)*高くても低くても、気を付けましょう
- HCT(血球容積)
- MCV(平均赤血球容積)
- Plat(血小板数)*特に低い場合、気を付けましょう
- TP(総蛋白)*特に低い場合、気を付けましょう
- お勧めの血液検査を受けるタイミング
WBC(白血球)
体内に細菌やウイルス、異物などが侵入したとき、これを取り込んで破壊したり(食作用)、免疫抗体を作って細菌やウイルス、がん細胞を殺したりする(免疫反応)働きをします。炎症が起こると骨髄でさかんに作られて、病原菌の侵入を防ぎます。
このことより、白血球数が多いということは体内のどこかで炎症が起きていたり、病原菌が侵入していることを示します。
白血球は、上記の表からわかるようにリンパ球、単球、好酸球、顆粒球というのがあります。
それぞれ見ていきましょう。
白血球数*特に低い場合、気を付けましょう
犬の基準値
6000-17000個/ul
猫の基準値
5000-15000個/ul
考えられる主なこと
LY(リンパ球)
犬の基準値
1000-4800個/ul
猫の基準値
1400-8100個/ul
考えられる主なこと
MO(単球)
犬の基準値
100-1300個/ul
猫の基準値
0-800個/ul
考えられる主なこと
EO(好酸球)
犬の基準値
100-1200個/ul
猫の基準値
0-1500個/ul
考えられる主なこと
GR(顆粒球)
犬の基準値
3000-11800個/ul
猫の基準値
2500-11300個/ul
考えられる主なこと
RBC(赤血球数)*特に低い場合、気を付けましょう
骨髄で産生されて、ヘモグロビンを通じて酸素を体の隅々まで運んで、不要になった二酸化炭素を運び出す機能や血液のPHを一定に保つなどの重要な働きをしています。
犬の基準値
550-850 ×10⁴個/ul
猫の基準値
600-1020 ×10⁴個/ul
考えられる主なこと
HGB(ヘモグロビン量)*高くても低くても、気を付けましょう
赤血球中のヘモグロビンは、酸素を体内の組織に運び、かわりに二酸化炭素を受け取って肺まで運んで放出、再び酸素と結びついて各組織に運ぶという重要な働きをしています。
犬の基準値
12-18g/dl
猫の基準値
9-15g/dl
考えられる主なこと
HCT(血球容積)
遠心機という機械で、血液は個体成分である血球と液体成分である血漿成分に分かれます。この値は、一定量の血液の中にどのくらいの血球成分があるのかを容積比で表したものです。
犬の基準値
37-55%
猫の基準値
30-45%
考えられる主なこと
MCV(平均赤血球容積)
赤血球数、ヘモグロビン濃度、血球容積の数値から各種の赤血球数指数を計算すると、貧血のおおまかな分類ができ、原因の推測や治療方針の決定に役立つ。
犬の基準値
60-77FL
猫の基準値
41.5-52.5FL
考えられる主なこと
Plat(血小板数)*特に低い場合、気を付けましょう
血小板の主な役割は止血です。血管が損傷すると血管壁にくっついて活性化することで凝集、大きな塊を作って出血を止めます。なので、血小板数が減少するということは出血しやすくなって血が止まりにくくなります。
犬の基準値
20-50 10⁴個/ul
猫の基準値
20-60 10⁴個/ul
考えられる主なこと
TP(総蛋白)*特に低い場合、気を付けましょう
血漿の中には100種類以上のたんぱく成分が存在して、細胞外液を介して体の至るところに分布して、膠質浸透圧の維持や生体防御機構などに関与しています。その主なものは、アルブミン、免疫グロブリン、リポたんぱく、糖タンパク、補体、凝固因子などになります。
犬の基準値
6-8g/dl
猫の基準値
6-8g/dl
考えられる主なこと
お勧めの血液検査を受けるタイミング
子犬、子猫の場合
生後5-6か月で不妊治療を受けると思いますので、その際に実施されます。
しっかりと記録を保管しましょう。
異常があった場合、獣医師と相談して定期的にしましょう。
8歳まで
年1回程度
8歳以上
半年1回程度